公務員と不妊治療の両立。「仕事」か「子供」か。私が6年間の妊活で見つけた「後悔しない」優先順位の付け方
こんにちは、元公務員のなぎびです。公務員として十数年働き、そのうち6年間を「妊活・不妊治療」に捧げました。この記事を読んでいるあなたは、今まさに、職場での責任と、刻一刻と過ぎていく自分の年齢との間で、引き裂かれそうな思いをしているのではないでしょうか。
「この時期に休みを取るのは、同僚に申し訳ない」「昇進試験を控えているけれど、治療を優先していいのか」。公務員組織は、良くも悪くも「平等」と「計画」を重視します。しかし、不妊治療は全く計画通りにはいきません。突然の通院、体調不良、そして結果が出なかった時の底知れない喪失感……。
私は6年間の経験の中で、「仕事」と「子供」の天秤の間で、何度も何度も悩んできました。その末に辿り着いたのは、「組織の論理」ではなく「自分の人生の論理」で決断するという強い意志でした。今回は、公務員が不妊治療と仕事を両立させるための「具体的かつ現実的な戦略」を解説します。
1. 公務員職場における不妊治療の「壁」の正体
公務員には「年休」の他にも、「生理休暇」や「病気休暇」などの特別休暇があることが多く、一見すると手厚い制度が整っています。しかし、実際にそれを使えるかどうかは別問題です。
① 突発的な通院と「前例主義」の衝突
不妊治療、特に体外受精などの高度生殖医療は、卵胞の育ち具合によって採卵日が急に決まります。「明後日休みます」が許されない、あるいは非常に言い出しにくいのが、公務員の現場です。特に窓口職場や、議会対応中の部署では、この「突発性」が周囲への心理的な負担(罪悪感)となり、多くの女性職員を苦しめています。
② 「休み=迷惑」という呪いと、評価への不安
「あの人はまた休んでいる」。言葉にはされなくても、冷ややかな視線を感じることがあります。また、人事評価や昇進への影響を懸念して、限界まで通院を隠し、結果として心身を壊してしまうケースを何度も見ました。しかし、私の公務員経験で断言できるのは、「組織はあなたの代わりを見つけるが、あなたの人生の代わりは誰もいない」という事実です。
2. 6年間の体験から学んだ「両立」を可能にする3つの戦略
精神論だけでは両立は不可能です。組織を「利用」し、自分を守るための戦略が必要です。
戦略①:上司への「戦略的カミングアウト」
全てを隠して通院するのは、精神的に破綻します。私は「高度な治療に入ること」「突発的に休みが必要になること」を、直属の上司にだけは早期に伝えました。 この時のポイントは、「同情を誘う」のではなく、「業務に支障が出ないよう、こういう体制でカバーしたい」という業務改善提案として伝えることです。管理職は、不確定要素を嫌います。「いつ休むかわからない」より「このパターンで休む可能性がある」と想定される方が、マネジメントしやすいのです。
戦略②:「時間外」の徹底排除と「時間休」の活用
不妊治療は、想像以上に体力を消耗します。ホルモン剤の影響で頭痛や倦怠感がある中での残業は、治療の結果にも悪影響を与えかねません。私は「この期間は定時で帰る」と心に決め、その分、勤務時間中の集中力を極限まで高めました。 また、公務員の特権である「1時間単位の時間休」をフル活用してください。丸一日休むより、午前中だけ、あるいは夕方だけ抜ける方が、周囲への負担感が少なく、自分自身の罪悪感も軽減されます。
戦略③:キャリアの「停滞」を「充電」と捉え直す
同僚が昇進試験に受かり、華やかな部署へ異動していく中、自分だけが停滞しているように感じるかもしれません。しかし、妊活は人生における「最優先プロジェクト」です。今のキャリアの停滞は、将来の幸せのための「投資期間」です。数年後、あなたが振り返った時、「あの時昇進したこと」よりも「あの時治療に全力を尽くしたこと」を誇りに思うはずです。
3. 公務員ならではの制度を「使い倒す」ためのマインドセット
公務員には、多くの職員が知らない、あるいは遠慮して使わない制度がたくさんあります。部分休業の他不妊治療休暇(不妊治療のための休暇)を設けている自治体もあります。また、最近ではテレワークも有効な手段です。
「みんなが使っていないから」と遠慮するのは、後進のためにもなりません。あなたが前例となって制度を使い、成果を出すことで、後輩の女性職員たちがより妊活しやすい職場環境を耕すことになります。あなたの「休み」は、未来の職場の「優しさ」を作る一歩なのです。
4. まとめ:あなたの幸せを「組織の都合」に委ねない
6年間の妊活を経て私が一番後悔しているのは、「もっと早く仕事に線を引けばよかった」ということです。「今は忙しいから」「来年の異動まで待とう」……そうやって先延ばしにした時間は、二度と戻ってきません。 公務員という仕事は素晴らしいですが、それは人生の一部でしかありません。組織は、あなたがどれだけ貢献しても、あなたの不妊治療の失敗に対して責任は取ってくれません。
自分の心と体を第一に。そして、後悔のない選択を。
不妊治療をしていた6年間は、たくさん悩んで、体調的にも精神的にも家計的にも、とても苦しい期間でした。でも、がんばった甲斐あって、待望の我が子を授かることができました。苦しかったけれど、今では、本当に取り組んでよかったと感じています。









